糖尿病の場合は、外食は血糖値を管理しにくいといえます。糖尿病の外食には注意が必要です。エネルギー量の摂りすぎや栄養バランスも偏りがちになりますから、家で実践している食事の食材や量や調理法などによるエネルギー量を思い出しながら、外食時のメニューを選びましょう。糖尿病に良いメニューの選び方のコツとしては、肉料理より魚料理、一品料理より定食、洋食や中華より和食を選ぶことです。魚料理は肉料理より負飽和脂肪酸を多く含んでいますから動脈硬化の予防になり、定食は栄養バランスをとりやすく、和食は中華や洋食よりも油の使用量が少ないです。
■糖尿病を考えた外食メニュー:和食の注意
和食は中華や洋食よりも油が少ないのでおすすめです。ただ、和食にはご飯など炭水化物の多い食材が多いです。ご飯の量・天ぷら・甘い味付けの煮物は食後の血糖値を上げるので注意が必要です。天丼・カツ丼・天ぷら定食・天ぷらうどんなどは要注意です。酢の物や野菜を組み合わせて食べることで、食後の血糖値の急激な上昇を抑えましょう。
■糖尿病を考えた外食メニュー:中華の注意
中華は前菜から食べます。前菜はGI値が低い物が多く食物繊維や酢を摂ることができます。脂肪を取り過ぎないようにするには、炒め物よりも蒸し料理・茹で料理がおすすめです。炒め物はカロリーが高いものが多いです。素材に気をつけて、甘い味付けや衣の少ないものを選ぶことで血糖値は上がりにくくなります。焼そばやチャーハンは炭水化物が多いですから、食後の血糖値を上げるので注意が必要です。デザートの杏仁豆腐などは甘いシロップを飲まなければ大丈夫です。
■糖尿病を考えた外食メニュー:洋食の注意
洋食は前菜から食べます。パスタやピザはパンよりも血糖値が上がりにくいです。パスタはオリーブオイルを使っていることが多いので、油に関しては他の油ほど気にしなくても良いようです。デザートは、ケーキやアイスクリームより果物のほうが血糖値を抑えられます。
■糖尿病を考えた外食メニュー:ファーストフードの注意
ファーストフードは最も注意すべき外食です。高カロリー・高脂肪・高炭水化物でビタミンやミネラルを摂りにくい食事といってよいです。ジュース類は生絞りジュースを選びましょう。できればファーストフードは避けることをおすすめします。
糖尿病の外食時の注意
糖尿病とお酒
糖尿病と飲酒の関係は、お酒を飲む人には辛い話になります。アルコールはエネルギー(7.1kcal/g)だけで栄養価値がなく、糖尿病患者がアルコールを摂取すると代謝異常をもたらすため、原則として禁酒させるべきとの考えが主流です。少量のお酒は食欲増進やストレス解消に役立ちますが、お酒を飲み始めると、つい飲みすぎ・食べすぎになりがちです。糖尿病ならば基本的に禁酒です。特に、経口血糖降下薬の服用やインスリン注射の治療をしている糖尿病患者の場合の低血糖を起こすリスクには注意を要します。アルコールは肝臓からのブドウ糖の放出を抑える働きがあり、血糖値が下がりやすくなるからです。糖尿病とお酒の関係は良好とはいえませんが、お酒は社交辞令としての役割があったりします。お酒の量は糖尿病患者によって異なります。主治医に相談して必ず指示を守りましょう。
お酒のカロリーはアルコール度数の高い酒類になるほど高いです。「糖質ゼロ」とか「カロリーオフ」などの表示があるお酒であってもカロリー(エネルギー)はゼロ(0)ではないのです。糖質0.5g(100mL当り)未満であれば「糖質ゼロ」と表示できます。飲料関係では100ml当たり20kcal以下ならば「低カロリー」と表示ができ、酒類で20kcal以下ならばアルコール度数が低いものに限られます。健康な人でも、毎日の飲酒量がビール大ビン1本を越えると糖尿病の発症確率が高くなるとの報告があります。糖尿病ならば原則禁酒、お酒を飲むなら飲みすぎ厳禁です。
■糖尿病でも飲酒が認められる条件
○長期に渡って血糖コントロールが良好。
○経口血糖降下薬やインスリンによる治療をしていない。
○肥満でない。
○糖尿病合併症がない。
○その他慢性疾患がない(肝臓・膵臓・心臓の疾患や動脈硬化など)
○自制心がある。
条件を満たす場合は、総エネルギーの約10%以内(2単位、160kalまで)を適量として飲酒できるようです。
■糖尿病における適量と考えられるアルコール量の目安
○日本酒(14%):1.8合
○ビール(5%):中ビン1本
○焼酎(25%):お湯割2杯(0.6合)
○ワイン(14%):グラス3杯
○ウィスキー(43%):ダブル1杯
糖尿病と間食(おやつ)
糖尿病の食事療法は、カロリー摂取量を守ってバランスの良い食事を毎日規則正しく3度食べて、間食(お菓子や嗜好飲料などのおやつ)をしない生活習慣が基本です。間食として食べるお菓子や嗜好飲料はカロリーが高く糖分も多いからです。砂糖は体内での吸収が早く、摂取後に血糖値を急激に上昇させてしまいます。間食をするならば注意が必要です。糖尿病患者によって間食の条件が異なりますから、主治医とよく相談しておくことが大切です。
■糖尿病と間食(おやつ):間食の量と間食をとる時間
間食は1日の必要エネルギー量範囲に収まるように、午後3時頃に摂ります。夕食後の間食は夜間の血糖値をあげる原因になります。
■糖尿病と間食(おやつ):お菓子の選び方
おやつには甘い物が多く、血糖値が上がりやすいものばかりです。血糖値を急上昇させやすい代表的なものに、チョコレート・アイスクリーム・ケーキなどがあります。おなかが空いて困るときはカロリーが低く満腹感を感じやすい食品にしましょう。お腹がすいたら、ノンカロリー食品や野菜スティックを食べる・お茶を飲むなどがおすすめです。血糖値が比較的上がりにくいものに、果物・寒天・無糖ヨーグルト・きな粉・さつまいもなどがあります。
■糖尿病と間食(おやつ):嗜好飲料の選び方
ドリンク類を買うときは表示を確認しましょう。フルーツジュース・果汁を多く含む野菜ジュース・スポーツドリンクで糖分を多く含んでいることがあります。飲料は吸収が早く、加えて甘い飲料はカロリーだけでなく血糖値を上げやすいので注意が必要です。また、冷たい飲料は本来の甘さを感じないため、思いのほか糖分の高い飲み物だったりします。飲料を選ぶときは、無糖のお茶や烏龍茶などがおすすめです。
糖尿病の自己管理の基本
糖尿病の自己管理の基本は血糖のコントロールです。糖尿病が上手くコントロールされれば糖尿病の症状も現われませんし糖尿病の合併症も予防することができます。そのためには糖尿病の自己管理が重要になります。糖尿病は薬を飲めば治るものではありません。糖尿病の知識をもって生活習慣を改善し、自分の意思で維持していくことが、糖尿病克服につながる糖尿病の自己管理の基本です。多くの糖尿病において、血糖をコントロールするための治療の三本柱の中心になるのが食事療法です。運動療法や薬物療法は食事療法が適切に行われていることが不可欠の条件です。血糖コントロールにインスリン治療が必須の糖尿病のタイプでも食事療法は重要です。
上手く糖尿病が自己管理できているかどうか確認しましょう。自分で簡単にできるチェック方法としては、体重の増減を知る・万歩計などで運動不足でないか知るなどがあります。自分で血糖値を測定することもできます。自分で確認した事は記録に残します。病院の検査結果も記録します。この記録で糖尿病の自己管理が出来ているかどうかを確認できますし、これからの糖尿病の自己管理に利用することもできます。糖尿病の自己管理と合わせて、定期的に検査を受けることで客観的に糖尿病の自己管理ができているかを確認することも忘れてはいけません。医師から受けた指示や注意を守り、分からないことがあったら医師に相談して適切な糖尿病の自己管理ができるようにしましょう。
血糖自己測定とは
血糖自己測定とは自分で採血をして血糖値を測ることです。糖尿病の治療は血糖コントロールが基本です。血糖値の動きは人によって異なりますし、いつも同じ動き方をするとは限りません。ましてや糖尿病の飲み薬(経口血糖降下薬など)やインスリンの薬治療をしている場合では、血糖値を適正にコントロールするのはもっと複雑になります。特にインスリン療法をしているならば、血糖値を自己管理する必要があり、自己血糖測定(SMBG)は欠かせません。日常生活の中で血糖値をチェックして、血糖値によってインスリンや食事の調整を可能にするのが自己血糖測定(SMBG)です。自己血糖測定で注意すべきは、使用方法や注意事項を守ることは当然のことですが、自己血糖測定で病院の検査と違っていたり思わぬ数値結果が出た場合は、必ず医師もしくは機器製造メーカーに相談する必要があります。そして、自己血糖測定が血糖コントロールに有効な手段だからといって、定期的に病院で検査を受けることを忘れてはいけません。病院での定期検査が疎かになっている場合は、糖尿病の管理が上手く行われていない傾向にあるようです。
自己血糖測定は、血糖が不安定な人や、食事療法や薬療法の治療効果を見たい・厳格な血糖コントロールをしたいといったケースに有効といえますが、自己血糖測定が健康保険適用になるのはインスリン療法を受けている患者のみです。
※血糖自己測定=SMBG(Self Monitoring of Blood Glucose)
※血糖測定は血液で血糖値を測定する方法です。尿糖測定は尿に浸した試験紙の色で高血糖かどうかを判断する方法です。通常の尿糖測定では血糖値が約160~180mg/dL(個人差があり)以下の場合は陰性になってしまいます。これを解決した尿糖計があります。境界型の糖尿病や軽症の糖尿病患者にとって、尿糖計で食事・運動・薬の効果を確認をすることは、糖尿病の自己管理に役立つといえます。
糖尿病の日常生活の注意
糖尿病患者の日常生活は、血糖コントロールという糖尿病の自己管理が基本です。糖尿病の治療は早期に開始して糖尿病の合併症の発症や進行を食い止めましょう。そして、尿病患者が忘れてはならないのが、日常生活のなかで感染症を予防をすることです。糖尿病による高血糖が免疫機能が低下や毛細血管の血流の悪化を引き起こして感染症に対する抵抗力が弱くなっていることで、感染症に罹りやすく重症化の進行が速いだけでなく、糖尿病の症状にも影響し更に感染症を悪化させる悪循環が生じやすいですからです。糖尿病の日常生活の注意事項として次の習慣を身につけて、感染症の予防をしましょう。糖尿病以外の感染症などの病気になったときをシックデイと呼びますが、シックデイには特別な対応が必要になります。
■糖尿病の日常生活の注意事項:
○規則正しい生活リズムを維持して、適切な食事と運動をします。
○薬を処方されているならば医師の指示に従って用い、副作用などの異常があったら必ず医師に相談します。(自己判断で薬を中止したり増減してはいけません。)
○歯磨きで口の中を清潔に保ちます。
○足に傷などの異常がないかチェックして、足を清潔に保ちます。
○尿路感染症などの感染症の予防をします。(特に女性は尿路感染症に注意が必要です)
○皮膚を清潔に保ちます。(血糖のコントロールが悪いと軽い傷でも化膿しやすいです。毎日入浴することで体を清潔に保ちます。また、化膿してしまった場合は、できるだけ早く医師の診察を受けます。)
糖尿病のシックデイ対策
糖尿病のほかに病気にかかっている状態をシックデイと呼びます。シックデイには糖尿病の自己管理がより求められます。糖尿病で血糖コントロールが良好であっても、血糖値が上昇してしまい、病気が重症化しやすくなります。普段の糖尿病の治療だけでは糖尿病のコントロールが難しくななるため、シックデイの対応が大切になります。糖尿病のシックデイ対策は、シックデイルールに基づいた対応をします。糖尿病のほかの病気とは、風邪などの感染症、胃炎・嘔吐・下痢、火傷や外傷などの急性疾患などあらゆる病気です。慢性的にインスリン作用不足の糖尿病の人が他の病気になると、その病気を克服しようとして血糖値を上げるアドレナリンなどのストレスホルモンやサイトカインが分泌されることで、血糖値が普段以上に上昇してしまうのです。そのような糖尿病以外の病気にかかったときの特別な対応方法を示すのがシックデイルールです。糖尿病のシックデイの対応を誤ると昏睡など極めて重篤な症状を引き起こすことがありますから、糖尿病患者だけでなく家族など周りの人がシックデイの知識と対応方法を理解して、糖尿病のシックデイルールを守ることが重要になります。
■糖尿病のシックデイ対策:シックデイルール(安静)
暖かくして安静にすることで体力の消耗を防ぎます。
■糖尿病のシックデイ対策:シックデイルール(食事と水分)
水分と糖質が不足しないように食事に気をつけます。例えば、風邪をひいたら栄養のあるものをたくさん食べて抵抗力をつけるのがよいといわれていますが、普段と同じ食事ができるのなら特に多く食べる必要はありません。ですが、風邪をひいたりすると食欲がなかったり吐き気がしたりして食事が進まないことが多いものです。糖質の摂取不足は脂肪細胞の分解を促してケトーシスに傾いて食欲不振や消化器の症状を悪化させる悪循環になります。また、発熱・発汗・下痢・嘔吐で水分不足が進みます。水分を多く摂って、炭水化物(糖質)を摂れる食事にしましょう。食欲がなくとも、お粥・おじや・コンソメスープ・味噌汁・果汁・スポーツ飲料などを小分けにしてでも良いですから、できるだけ摂るようにします。ビタミンCは感染症からの回復を助けてくれます。果物や野菜類もできれば摂りましょう。
■糖尿病のシックデイ対策:シックデイルール(症状チェック)
シックデイには血糖値の把握が大切になります。シックデイでは一般的に血糖値が上昇しますが、血糖値が下がることもあります。体温・食欲・食事量・自覚症状の変化も小まめにチェックします。水分補給や食事で嘔吐・下痢・腹痛を引き起こすときは病院での受診をします。
■糖尿病のシックデイ対策:シックデイルール(主治医に連絡)
シックデイでは無理をせずに早めに主治医に連絡をして早めの対応をします。食事が摂れない・下痢や嘔吐が続いている・腹痛が酷い・38℃以上の熱が続いている・改善の兆しが見えない・インスリン注射量や経口薬の服用量が判断できない。このような時は、迷わず主治医に連絡して指示を受けて適切に対応することが必要です。
糖尿病カード糖尿病手帳とは
糖尿病カードや糖尿病手帳は糖尿病患者、特に薬物療法をしている糖尿病患者にとっては大切なもので、外出するときは常に携帯しましょう。外出先や旅行先で不慮の事故や低血糖に陥ったりして自分で対処できないときの大きな助けになります。低血糖で意識がないときや、低血糖で意識があっても自分で対処できないことがあるからです。糖尿病カードは糖尿病患者用IDカード、糖尿病手帳は糖尿病健康手帳ともいいます。
糖尿病手帳とは、糖尿病の自己管理の手助けになるとともに、低血糖などに陥ったときの対処についての文章が書かれている、謂わば携帯できる小さなカルテのようなものです。糖尿病手帳(糖尿病健康手帳)には、病院で受診したときの体重・血圧・血液・尿検査データや治療の内容、主治医の連絡先などが記されています。糖尿病手帳(糖尿病健康手帳)は無料です。主治医に申し出てください。糖尿病手帳(糖尿病健康手帳)には幾つかの種類があります。日本糖尿病協会や製薬会社が作成した手帳や、医療機関が独自に作成した糖尿病手帳(糖尿病健康手帳)があります。外出・旅行・他の病院で受診するときは必ず身につけておきましょう。
糖尿病カードとは、低血糖で自分で対処できないときに、周りの人に自分の状態を知らせて糖尿病による低血糖の対処をお願いするカードです。糖尿病カード(糖尿病患者用IDカード)は、日本糖尿病協会が糖尿病と認定した患者に発行してくれますが、自分でも作成することができます。海外旅行のときは英文の糖尿病カードを準備しましょう。手製の糖尿病カードは厚めの紙に次のように記しておきます。
○自分が糖尿病であること(私は糖尿病です。I HAVE DIABETES.)
○対処方法(意識不明になったり、異常な行動が見られたら、私の携帯している砂糖(ブドウ糖)、またはジュースか砂糖水を飲ませてください。それでも回復しない時は、下記医療機関・主治医に連絡して指示を受けてください。)
○自分の名前・住所・電話番号
○家族など連絡する人の電話番号
○飲み薬を飲んでいる場合は、薬の種類と1日の服用量
○インスリン注射をしている場合は、インスリン製剤の種類と注射する時間
○受診している病院名・主治医の名前・電話番号
糖尿病と旅行
糖尿病でも旅行はできます。ただ、糖尿病患者が旅行する際は、糖尿病の管理が上手く行われていることと、出発前に十分な準備を整えることが大切になります。また、旅先では糖尿病の自己管理により注意が必要になります。リラックスして旅行を楽しむことも大切です。万全の準備をして楽しい旅行にしましょう。
■糖尿病と旅行:旅行前の準備
○旅行先について念入りに調べます。
○旅程について医師に相談します。食事について栄養士に相談します。
○余分にインスリンその他の糖尿病薬を処方してもらいます。
○健康保険の契約内容を調べます。
○血糖値測定器や糖尿病薬など糖尿病関係の必需品を荷物に入れます。
○糖尿病であることを、同行者に話しておきます。
■糖尿病と旅行:旅行中の注意
○糖尿病手帳や糖尿病カードを携帯します。海外旅行では英文カードを携帯します。
○インスリンや経口薬などの糖尿病の薬を常に携帯します。また、紛失に備えて、一部を別のバッグに入れたり同行者に持ってもらいます。
○万一のために、余分に食品を持ち歩きます。
○普段以上に血糖値を計る回数を増やして血糖値を確認します。
■糖尿病と旅行:飛行機の中での注意
○機内食は糖尿病食にします。普通の機内食ならば、大丈夫なものだけを選んで食べ、必要ならば持参した食品で食事を補います。
○飛行機に乗る前に十分水分補給をして起きます。飛行機に乗っている間は、ノンアルコールの飲み物で水分補給をします。
○他の乗客に迷惑にならない程度に、できるだけキャビン内を歩きます。
■糖尿病と旅行:海外旅行での注意(空港での検査)
○エックス線の検査を受ける前に、目視検査を未だ受けていないのなら、目視検査を要求します。また、目視検査では、医薬品や備品の破損防止目的に、自分で取り出して並べてもよいかどうか聞きます。
○医薬品や備品は、他の小物と区別できるように分けておきます。
○医薬品や備品は、ラベルなどで視覚的に何であるかが分かるようにしておきます。
糖尿病性壊疽の予防
糖尿病性神経障害は糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症よりも早い時期に現われる糖尿病の合併症です。糖尿病性神経障害と診断されたら、症状にあった治療を早めに行いましょう。血糖値のコントロールだけでなく、足を小まめにチェックして糖尿病壊疽の予防をすることも必要です。糖尿病末梢神経障害の早期であれば、糖尿病の自己管理をしっかり行って、血糖値を正常化するだけでも症状を改善することができます。放置し続けると糖尿病壊疽を引き起こして足を切断、最悪では死亡に至ることさえあります。糖尿病末梢神経障害の症状として足のしびれや痛みがよく挙げられますが、痛みを感じる知覚神経が麻痺することで、足の指にできた小さな傷が化膿しても気付かなかったり、異常に気付いていても痛みがないため放置してしまい糖尿病壊疽に陥ることもあります。
■糖尿病性神経障害:糖尿病壊疽の予防方法
○血糖コントロールを良好に維持します。
○毎日、足をしっかりチェックします。(指の間や足の裏も忘れずに)
○毎日、足をよく洗って乾燥させて、清潔に保ちます。
○水虫や傷などがある場合は治療をします。
○爪を切るときは深爪にならないようにします。
○足が冷たくても湯たんぽなどを使用せず、靴下を履いて寝るなどの工夫で足を温めます。
○家の中ではなるべく素足を避けます。
○清潔で自分の足にあった靴下・靴を履きます。素足にサンダルは履かないようにします。
○夏のプールサイドや砂浜では、素足で歩かないようにします。
○入浴時は熱湯や火傷に注意が必要です。必ず湯加減を見てから入ります。
○タバコを吸うなら、禁煙です。
○お酒は基本的に禁酒です。
糖尿病なら歯周病に注意
糖尿病も歯周病も生活習慣病です。糖尿病も歯周病も治療を受けることが必要です。糖尿病は歯周病を悪化させるだけでなく、歯周病も糖尿病を悪化せるという相互関係があります。食後は必ず丁寧な歯磨きを欠かさず行い、定期的に歯科医院でチェックしてもらい、自分では落としきれない汚れや歯石を除去してもらいましょう。糖尿病で歯周病ならば、糖尿病を進行させない糖尿病の自己管理と、口の中を清潔に保つことが大切です。歯周病を放置していると、歯槽膿漏で歯ぐきが腫れて出血するだけでなく、歯がぐらついたり抜けたりと食べ物にも制限が生じ、軟らかい食べ物ばかりを食べていると、食事後の血糖値が急上昇する食後高血糖になりやすいといわれています。
■歯周病予防方法
○毎食後30分以内に3分の歯磨き習慣を身につけます。歯科医院で歯磨きの仕方の指導を受けることをおすすめします。
○定期的に歯科医院を受診して、歯垢や歯石の除去をします。歯の検診も受けて必要ならば治療をします。
糖尿病になりやすい人
糖尿病のおよそ95%を2型糖尿病が占めています。2型糖尿病になりやすい人としては、両親や兄弟姉妹に糖尿病のいる人、肥満の人、運動不足の人、ストレスがたまっている人などがあげられます。
■糖尿病になりやすい人かどうかチェックしてみませんか?チェックが多いほど糖尿病になりやすい人です。
○糖尿病になりやすい人:家族
・家族や親戚に糖尿病の人がいる
○糖尿病になりやすい人:BMI
・BMIが27を越えている
○糖尿病になりやすい人:肥満になりやすい人の食事
・食事時間が不規則
・満腹になるまで食べる
・良く噛まない
・まとめ食いをする
・朝食は食べない
・間食(おやつ)が多い
・夕食が遅くたくさん食べる
・夜食をとることが多い
・食べ物に好き嫌いが多い
・緑黄色野菜や海草類をあまり食べない
・脂っこいものが好き
・甘い食べ物や飲み物が好き
・お酒をたくさん飲む
○糖尿病になりやすい人:エネルギー消費が少ない
・座り仕事が多い
・1日1時間以内しか歩かない
・運動不足である
○糖尿病になりやすい人:ストレス
・ストレスがたまっている
・ゆっくり休めない
○糖尿病になりやすい人:年齢
・40歳以上である(40歳を過ぎると基礎代謝量も低下し太りやすくなります。)
○糖尿病になりやすい人:妊娠
・妊娠中に血糖値が上がったことがある
肥満予防が糖尿病予防に
肥満予防が糖尿病予防に繋がります。肥満の基準に広く使われているのがBMIです。BMIが22で最も病気が少ないとされています。BMIが27を越えると糖尿病になる確率は肥満でない人の2倍になります。BMIが25を越えただけでも高血圧や高中性脂肪血症の発症率が2倍になります。これらは糖尿病の危険因子です。
肥満の原因は、「遺伝:環境=3:7」といわれています。子供の頃から肥満の人は脂肪細胞が多く、痩せにくく太りやすい傾向があります。成人になってからの肥満は、食事などの生活習慣改善でダイエットなどの効果がでやすいとされています。
○BMI値の計算式
体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=BMI値(Body Mass Index、ボディー・マス・インデックス)
○肥満度チェック
【BMI値>18.5】痩せすぎ
【18.5≦BMI値>25】普通
【25≦BMI値>30】肥満度1
【30≦BMI値>35】肥満度2
【35≦BMI値>40】肥満度3
【40≦BMI値】肥満度4
糖尿病予防には食事と運動
糖尿病の多くを占める2型糖尿病は正しい食生活と運動によって予防改善できます。糖尿病の初期症状は、のどが渇く・尿の量が多い・食欲の異常・疲れやすい・体重の変化が激しい・視力が急に落ちる・傷が治りにくい・手足がしびれるなどがあります。ですが、糖尿病は自覚症状がないままに進行しています。糖尿病の症状がでるころには糖尿病がかなり進行しているといってもよいです。糖尿病の予防は食事と運動が決め手になります。糖尿病予備軍ならば本格的な糖尿病になる前に食事と運動で糖尿病予防をしましょう。
■糖尿病の予防:食事
適切なカロリー摂取を維持して、栄養バランスの良い食事にしましょう。良く噛んでゆっくりと食事をすることで、食べ過ぎや急激な血糖値の上昇を避けることができます。日本糖尿病学会の「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用するのもよいです。
■糖尿病の予防:運動
適度な運動でカロリーを消費しましょう。有酸素運動がおすすめです。長く続けることのできる自分にあった運動の仕方を見つけましょう。
糖尿病予防の食事方法
糖尿病に限らず、栄養の過不足のないバランスの良い食事と、食べ過ぎないことです。ちょっとした工夫で糖尿病予防の食事にしましょう。
■糖尿病予防になる食事の基本
○規則正しい食生活
○栄養バランスのよい食事
○食べすぎ厳禁(特に、甘いものや脂っぽいものは食べ過ぎない)・腹八分目
■糖尿病予防になる食事のこつ・工夫
○1人分ずつ取り分けて食べます。大人数で大皿から食べると、食べた量がわかりずらく、つい食べ過ぎてしまいます。
○ながら食いは止めます。テレビを見ながらの食事や新聞を読みながらの食事など、ながら食いは食べた量が分かりづらいです。
○味付けは薄味にします。おかずが濃い味ではご飯をたくさん食べてしまいがちです。素材の味を生かした薄味の料理にしましょう。
○食事の量が多いと思ったら、無理して全部食べようとせずに残します。
○小ぶりのお茶碗を使います。1膳あたりの量が少ないので食べすぎを避けられます。
○調味料は料理に直接かけずに小皿にとった調味料につけます。ドレッシングやマヨネーズなど油分が多く太りやすい食品です。醤油などの塩分は高血圧の原因になります。
糖尿病予防の運動は食後
糖尿病予防の運動で効果的な時間帯があります。糖尿病予防の運動は食後1時間位から始めるのが最適といわれています。糖尿病患者や糖尿病の予備軍の血糖値がとりわけ食事の後1~2時間位で最高になるため、血糖値上昇が始まるタイミングをみはからって運動をするのがよいという考え方に基づきます。運動によって筋肉が刺激されると効率的に血糖を取り込める状態になって高血糖のピークを抑えることができる、つまり糖尿病予防になるという考え方です。糖尿病予備軍では空腹時の血糖値が正常であるにもかかわらず、食後だけ血糖値が適正値以上に高くなる人も多いようです。高血糖の状態が続けば本当の糖尿病患者になってしまうリスクが高くなりますから、食後の運動で高血糖になっている時間帯を縮小すれば、本格的な糖尿病に進行することを妨げることになります。糖尿病予防の運動には有酸素運動が適しています。とはいえ、仕事などで食後の運動は難しいのも現実です。あまり神経質にならずに徐々に運動を生活習慣に組み入れて、効率的に血糖を消費する体作りをしましょう。生活パターンは人それぞれ違いますから、食後の運動のみにこだわらず、継続してできる自分に合った運動で糖尿病予防をすることが大切です。
糖尿病になったら何科
糖尿病になったら何科にかかればいいのでしょう?糖尿病の専門科は内分泌・代謝内科になりますが、糖尿病を専門に扱う科をそなえた病院や糖尿病専門医院もあります。定期健康診断で血糖値が高めといわれたら、より詳細な検査を受けることをおすすめします。糖尿病と診断されたら、できる限り早く糖尿病治療を開始することが必要です。糖尿病治療は糖尿病専門医にと思うのは当然かも知れませんが、先ずはかかりつけの内科医師に相談をして、専門的な治療が必要と判断されたら専門医を紹介してもらうのがよいようです。もし今受けている糖尿病治療に疑問を感じているならば、別の病院でセカンドオピニオンを活用して、同じ判断または同じ治療になるか確認するのもよいです。だからといって病院を渡り歩くのは止めましょう。糖尿病になったら継続的な治療が必要です。医師との信頼関係を築いて糖尿病治療を続けることが大切です。
糖尿病専門医とは
糖尿病専門医とは日本糖尿病学会が認定するもので、糖尿病専門医に認定されるには諸々の厳しい条件を満たすことになっています。糖尿病専門医を探すならば、日本糖尿病学会のホームページの専門医の一覧などを利用して探す方法もありますし、糖尿病になったら「糖尿病専門医にまかせなさい」といいたいところですが、糖尿病専門医が増えてきているとはいっても糖尿病全人口を診療するにはまだまだ少ない専門医数ですし、糖尿病専門医は大都市の大病院に集中する傾向があり、大病院になると予約が必要だったり遠くにあるなど不便なこともあります。糖尿病は継続治療が重要です。そこで、賢い糖尿病患者になる必要がでてきます。病院で糖尿病専門医の治療を受けている場合は、病院を離れるのは不安ですね。例えば、病院の糖尿病専門医と開業医の二人の主治医を持ち、病状が安定している場合は開業医に通院して特別な治療や精密検査は糖尿病専門医にお願いする方法はどうでしょう?二人の主治医が連携して治療に当たる環境が必要になります。病院の主治医に相談して開業医を紹介してもらうのも選択肢のひとつかもしれません。開業医が病院に紹介するのが一般的ですが、逆に病院の主治医が開業医を紹介するというのもひとつの方法と考えられます。糖尿病とは長いお付き合いになりますから、治療が無理なく上手くできる環境作りをするのも大切です。
糖尿病の病院探し医師選び
糖尿病になったら病院選びや医師選びは重要になります。糖尿病治療は長くなることも少なくありません。長く通院できる病院・医院であることや、相性の良い主治医にめぐり合うことが大切です。糖尿病の病院選び医師選びのポイントとして幾つかあります。
○栄養指導があるか
○糖尿病手帳を渡してくれるか
○糖尿病教室があるか
○医師以外の栄養士などのスタッフも糖尿病の治療に関わっているか
○運動療法の具体的な方法についての説明があるか
○糖尿病薬(血糖降下薬やインスリン注射)の処方に当たって低血糖などの症状や注意点についての説明があるか
○血糖値のコントロール目標(血糖値やHbA1c値)についての説明があるか
○糖尿病の合併症について説明があるか
○眼科など他の科に紹介してくれるか
○質問に対して嫌がらずに答えてくれるか
○訴えに対して真剣に聞いてくれるか
糖尿病になったら糖尿病専門医の治療を望むのは当然ですが、糖尿病専門医がまだまだ少ないのが実態です。糖尿病になったら自分に合った病院と主治医を探すことが糖尿病治療の一歩になります。そして糖尿病の自己管理が極めて重要になります。
糖尿病と高血圧
糖尿病と高血圧には密接な関係があります。糖尿病と高血圧は動脈硬化の危険因子で、日本人の死因の上位にある脳卒中や心筋梗塞の原因になっています。動脈硬化の原因である高血圧や糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、肥満などが相互に悪影響を与えあって動脈硬化を加速させるという悪循環が生じます。これがメタボリックシンドロームです。心疾患や脳血管疾患に与える糖尿病と高血圧の危険度は、健康な人が危険度1ならば、糖尿病で2~3倍、高血圧で2~3倍、糖尿病と高血圧の両方がある場合は6~7倍といわれています。2型糖尿病の人はそうでない人に比べて高血圧の合併頻度は約2倍といわれています。糖尿病と高血圧症をお互いに合併しやすい理由のにとつとして考えられるのは、糖尿病と高血圧症に共通してインスリン抵抗性という因子があることです。糖尿病の合併症である糖尿病性腎症の場合では、腎症は血圧を上昇させ、高血圧は腎症を進行させるという関係があります。高血圧は網膜内の血管にも悪影響を及ぼし、糖尿病性網膜症の進行を加速させます。このように糖尿病と高血圧、糖尿病の合併症と高血圧は深く関わりあっていることから、軽症の高血圧であっても積極的な治療が必要で、血糖値と同じく血圧のコントロールもしなければなりません。また2型糖尿病患者は肥満であることも多く、肥満では高血圧になりやすいです。肥満ならば、これもあわせて改善すべき対象になります。

