欧米人に比して日本人は糖尿病になりやすいといわれています。一般的に日本人はインスリン分泌力が弱いことや、倹約遺伝子(肥満遺伝子)を持っていることが多いなどの日本人の農耕民族の特性に加えて、欧米化した食事に伴って、ちょっとした過食で血糖値が上昇しやすく、肥満になりやすく、それほどの肥満でなくとも糖尿病になりやすい状態です。これらのことから若年層の糖尿病患者数は増加傾向にあります。
日本人の約三分の一にβ3アドレナリン受容体の異常があり、日本人の約96%に脂肪細胞を肥大化させるPPARγ遺伝子があるといわれています。β3アドレナリン受容体に異常があると、正常な人に比して基礎代謝量が少なく、同じエネルギーを摂取しても体脂肪が増えやすい=太りやすいです。肥大化した脂肪細胞は最終的に分泌するアディポサイトカインというホルモンはインスリン抵抗性を作り出すため糖尿病のリスクを高めます。
糖尿病になりやすい日本人
糖尿病の危険因子チェック
糖尿病になりやすい人チェックです。糖尿病は体質(遺伝的因子)と環境が深く関係している病気です。チェック項目が多いならば、糖尿病になりやすい危険因子を多く持っているといえます。糖尿病の95%を占める2型糖尿病は自覚症状が少ない病気で無症状の時期が長くゆっくり進行しますから注意が必要です。健康診断や定期検診で予兆が現れますから、最低1年に1度は検査をうけるようにしましょう。チェック項目以外に糖尿病や糖尿病の合併症と疑われる症状があるならば早めに専門医を受診してください。
○家族や血縁者に糖尿病の人がいる
○肥満気味だ
○運動不足と感じている
○高血圧だといわれたことがある
○食生活が偏りがちだ
○最近ウェストが太くなった
糖尿病と遺伝
1型糖尿病・2型糖尿病ともに発症する遺伝子を持っているといわれていますが、多くについては特定の遺伝子異常はまだ証明されていません。1型糖尿病は優性遺伝もしくは多因性遺伝、2型糖尿病では多因性遺伝によると考えられています。糖尿病の遺伝形式の大部分は複数の遺伝子が関わる多因子遺伝で、かつ環境的因子が加わるため、発症確率について具体的な数字は出せません。ですが、血縁に糖尿病の人がいる場合は、いない人よりも糖尿病を発症する可能性が明らかに高くなります。極めて稀に、常染色体優性遺伝の糖尿病や、ミトコンドリア遺伝する糖尿病があります。常染色体優性遺伝の糖尿病では、片親が糖尿病の場合は、親から子どもに50%の確率で発症します。家族内で25歳以下の若年で2型糖尿病を発症している場合は、常染色体優性遺伝の糖尿病(MODY)が疑われます。両親とも糖尿病でなくとも、子どもの25%が発症する常染色体劣性遺伝の糖尿病もあります。ミトコンドリア遺伝する糖尿病とは、ミトコンドリア遺伝子の異常が原因で起こる糖尿病です。ミトコンドリア糖尿病は、特別なケースをのぞき殆どが母系遺伝で、父方から子どもには伝わりません。
糖尿病患者の家族歴をみると2親等以内の血縁に40~50%の割合で糖尿病が見られるほど家族内発症の多い疾患ですが、糖尿病を発症する遺伝子を持っているからといって必ず糖尿病になるとは限りません。環境因子が糖尿病に大きく影響していますから、糖尿病を発症する環境因子による引き金がいつ引かれるかと考えたほうが良いようです。血縁に糖尿病の人がいるならば糖尿病の発症する可能性が高まります。糖尿病になる可能性を考慮して糖尿病予防を心掛ける生活習慣が大切になります。
糖尿病と環境
1型糖尿病・2型糖尿病ともに環境因子が引き金になって発症するとされています。1型糖尿病の環境因子については自己免疫・ウイルス感染・アレルギーの原因となる食物のタンパク質などがあげられていますが、1型糖尿病の発症メカニズムの解明には至っていません。2型糖尿病は環境因子が大きく影響しています。インスリン作用の低下(インスリン分泌不全・インスリン抵抗性)が糖尿病の原因ですが、膵臓からのインスリン分泌に始まって肝臓などの臓器や筋肉でのインスリンの作用にいたるサイクルのいずれかに異常が生じれば糖尿病が起こりえます。インスリン作用は食事や身体活動などの影響で変化します。環境因子となる運動不足・過体重・脂肪の過剰摂取・不規則な食生活などの生活習慣・ストレスはインスリン作用サイクルのリスク要因になりインスリン作用の低下を引き起こします。例えば、ストレスを感じると副腎皮質ホルモンやアドレナリンなどインスリンの働きを妨げ血糖値を上昇させてしまいます。2型糖尿病は環境因子の関与が大きいため、糖尿病を発症する引き金がいつ引かれるかと考えたほうが良いようです。血縁に糖尿病の人がいるならば糖尿病の発症する可能性が高まりますから、糖尿病になる可能性を考慮して糖尿病予防を心掛ける生活習慣が大切になります。
糖尿病と肥満
肥満が原因の糖尿病を肥満型糖尿病とも呼び、2型糖尿病の6割以上を占めるといわれています。日本人の多くが肥満になりやすい肥満遺伝子(倹約遺伝子)を持っており、40才代をすぎると基礎代謝も急激に低下して、肥満になりやすい食生活などの生活習慣も加わって、肥満になりやすい状態になります。中性脂肪が内臓に蓄積されると内臓脂肪・皮膚の下に蓄積されると皮下脂肪です。メタボリックシンドロームの元凶が内臓脂肪による内臓脂肪型肥満です。肥満が原因でどうして糖尿病になるのでしょう?肥満が糖尿病を引き起こすメカニズムは、肥満⇒高インスリン血症⇒インスリン抵抗性が強くなる⇒耐糖能異常・血圧上昇・脂質代謝異常が起こる⇒糖尿病の発症となります。
内臓脂肪型肥満は痩せている人にもある肥満型です。多すぎる内臓脂肪は血液中の脂肪分が高くなる脂質異常症(高脂血症)発症や、インスリン抵抗性を強めて血糖値が上昇し耐糖能異常レベルの高血糖になり糖尿病を発症するリスクが高まります。また、内臓脂肪そのものも動脈硬化を促進して心筋梗塞・脳梗塞を引き起こすリスクを高めます。内臓脂肪型肥満に脂質異常症(高脂血症)・高血圧・高血糖の3つのうち2つ以上が加わった状態をメタボリックシンドロームと呼びます。
糖尿病と大きく関係する肥満の原因は「遺伝:環境=3:7」といわれています。糖尿病予備軍や軽度の糖尿病ならば食事療法や運動療法で改善したり進行を食い止めて合併症を回避することも可能です。重症の糖尿病になる前に適切な治療をすることが重要です。
※肥満遺伝子(倹約遺伝子)に、脂肪細胞の肥大を起こす「PPARγ遺伝子」があります。肥大化した脂肪細胞が分泌するホルモンがインスリン抵抗性などを作り出すため、この遺伝子を持っていると肥満になりやすく、糖尿病・高血圧などの生活習慣病になりやすい状態になります。
※高インスリン血症とは、インスリン作用の低下を補おうと膵臓がインスリンを多く分泌してしまう疾患です。高インスリン血症は、さらにインスリン抵抗性を強めることになり、糖尿病を進行させてしまいます。インスリン抵抗性については血中インスリン濃度を調べる検査で確認できます。
※内臓脂肪型肥満に脂質異常症(高脂血症)・高血圧・高血糖の3つのうち2つ以上が加わった状態がメタボリックシンドロームです。もっと肥満やメタボリックシンドロームについて知りたい方は健康111ナビの肥満ダイエットをご覧下さい。
糖尿病の原因になる病気
糖尿病の原因になる病気があります。病気が原因で血糖が高くなり糖尿病を発症するもので、インスリンを作っている膵臓の病気による糖尿病、ホルモンの病気のために起こる糖尿病、肝臓の病気による糖尿病、特別な遺伝的な病気でおこる糖尿病、薬物(ステロイド、インターフェロンなど)による糖尿病などです。これらの病気はインスリン作用の低下をもたらして糖尿病を引き起こします。
■糖尿病の原因になる病気:クッシング症候群
副腎皮質ホルモンが過剰分泌されます。
■糖尿病の原因になる病気:慢性膵炎や膵臓がんなどの膵臓の病気
膵臓のランゲルハンス島が破壊され、高血糖になります。
■糖尿病の原因になる病気:慢性肝炎や肝硬変などの肝臓の病気
インスリン抵抗性になりやすく、高血糖になります。
■糖尿病の原因になる病気:褐色細胞腫
副腎脂質の腫瘍です。アドレナリン・ノルアドレナリンが増えます。また、高血圧発作も起こります。
■糖尿病の原因になる病気:巨人症・先端巨大症
成長ホルモンが過剰分泌される病気です。
ペットボトル症候群とは
ペットボトル症候群とは、清涼飲料水ケトーシス(ソフトドリンクケトーシス)のことです。糖分を含む清涼飲料水を大量に飲み続けることが原因で、血糖値の上昇にインスリン分泌が追いつかずに高血糖状態になり糖尿病発症リスクが高まる状態のことです。ペットボトル症候群では、血糖値上昇でのどが渇くため更に飲んでしまうことでますます血糖値が上昇し、飲めば飲むほどのどが渇くという悪循環に陥ることが多く、口渇、多飲、多尿、体重減少など糖尿病の典型的な症状を伴って、急激に糖尿病を発症する場合が多いとされています。ペットボトル症候群は40歳代までの人が多く、糖尿病の血縁者がいたり、本人が糖尿病の遺伝因子を持っていると考えられます。
清涼飲料水でも糖分を含んでいれば、飲めばその分糖分を摂取していることになります。喉が渇いたら、水やお茶などカロリーのない飲み物をおすすめします。

