健康診断の検査結果を見て糖尿病の予兆を見逃さないようにしましょう。糖尿病は自覚症状が殆どありませんが、糖尿病の予兆は健康診断の数値に表れます。糖尿病に関わる数値を正常に維持または近づける努力で糖尿病の発症や進行のリスクを減らすことが可能です。
糖尿病に関わる健康診断でみる検査項目はおよそ次のとおりです。
■糖尿病の予兆になる検査:BMI【BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)】
肥満度25以上が肥満です。肥満の人の糖尿病の発症率は肥満でない人の約5倍といわれています。
■糖尿病の予兆になる検査:血糖値(空腹時血糖値)
空腹時血糖値の正常域は70~110mg/dlです。126mg/dl以上で糖尿病域と診断されます。正常域でも糖尿病域でもない境界域の血糖値の場合はより詳しい検査が必要です。
■糖尿病の予兆になる検査:HbAlc(ヘモグロビンA1c、グリコヘモグロビンの1種)
HbAlcは過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映します。6.5%以上で糖尿病と診断されます。
■糖尿病の予兆になる検査:総コレステロール値
基準値(120~219mg/dl)より高いと糖尿病が疑われたり、糖尿病の原因になります。
■糖尿病の予兆になる検査:中性脂肪
基準値(30~149mg/dl)より高いと糖尿病が疑われたり、糖尿病の原因になります。
■糖尿病の予兆になる検査:尿素窒素
基準値(8~20mg/dl)より高いと糖尿病が疑われたり、糖尿病の原因になります。
■糖尿病の予兆になる検査:HDLコレステロール
基準値(40~70mg/dl)より低いと糖尿病が疑われます。
■糖尿病の予兆になる検査:尿糖
陰性(-)が正常です。陽性(+)で糖尿病が疑われます。
糖尿病の予兆を健康診断で
糖尿病の検査の種類
糖尿病の検査の種類にはいろいろありますが、健康診断で「尿に糖がでている」「血糖値が高め」など糖尿病が疑わしい場合は、まず糖尿病かどうか診断を下すための検査を行います。糖尿病と診断されたら、治療法を決めるために糖尿病の型を判定する検査、糖尿病の合併症の有無の検査、糖尿病の重症度をみる検査などを行います。糖尿病の治療中にも治療経過を見る検査があります。
■糖尿病の検査:糖尿病かどうか診断を下すための検査
血糖検査(空腹時・随時)、75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)、ヘモグロビンA1c(HbA1c、グリコヘモグロビン)、眼底検査
■糖尿病の検査:糖尿病の型を判定する検査
血液中インスリン、C-ペプチド(CPR)、抗GAD抗体(グルタミン酸脱炭酸酵素)、ICA(膵島細胞抗体)
■糖尿病の検査:糖尿病の合併症の有無の検査
糖尿病性網膜症・糖尿病性神経障害・動脈硬化の有無を調べる検査
■糖尿病の検査:糖尿病の重症度の検査・治療結果を見る検査
ヘモグロビンA1c(HbA1c、グリコヘモグロビン)、グリコアルブミン(GA)、1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)、ケトン体
糖尿病の血糖値検査方法
糖尿病の検査というと、血糖値の検査を思い浮かべると思います。血糖値の検査には、血糖検査(空腹時・随時)と75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)があります。血糖検査の結果が正常値でも糖尿病でもない場合は糖負荷試験によって境界型か糖尿病型かを調べます。
空腹時血糖値とは、朝食を抜いた空腹時の血液検査で血糖値を測定する検査方法です。血糖値による糖尿病の診断の中では最も基本的な検査方法です。空腹時血糖値による診断基準値は次のとおりです。
○糖尿病域:126mg/dl以上の糖代謝異常
○境界域:110 - 125mg/dlの糖代謝異常
○正常域:70 - 110mg/dl
75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)とは、75gのブドウ糖液を飲んだ後の血糖値の変化を調べる検査です。75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)は、食後に血糖値が急上昇するタイプの糖尿病を検査するのに有効とされていますが、空腹時血糖値が150㎎/dl以上、食後の血糖値が250以上になったことがある人の場合は、血糖値が極端に上がり危険です。ブドウ糖負荷試験は境界型か糖尿病型かをはっきりさせるための検査です。食後2時間血糖値とは、食べ始めから2時間後(食べ物のおよそ半分が腸に移動する頃)の血糖値で、ブドウ糖負荷試験と言った場合は、通常食後2時間血糖値のことを指します。食後2時間血糖値の診断基準値は以下のとおりです。
○糖尿病型:200mg/dl以上の糖代謝異常
○境界型:140 - 199 mg/dlの糖代謝異常
○正常値:140mg/dL未満
血糖値の検査結果を判定基準値にもとづき正常型・境界型・糖尿型に分類します。
○正常型:空腹時値とブドウ糖負荷後2時間値のどちらもが正常域の場合
○糖尿病型:空腹時値またはブドウ糖負荷後2時間値のどちらか、もしくは両方が糖尿病域の場合
○境界型:正常型でも糖尿病型でない場合
※上記の基準値は妊娠していない人の場合の基準値です。
糖尿病かどうかの検査
尿糖が検出されたり血糖値が高めなど糖尿病が疑われる場合は、糖尿病かどうか診断を下すためのより詳しい検査をします。血糖値やヘモグロビンA1cの検査のほか糖尿病性網膜症かどうかの眼底検査などに基づいて診断がなされます。血糖検査(空腹時・随時)と75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)の検査を異なる日に2回行って糖尿病かどうか診断がなされますが、1回の検査だけであっても、HbA1Cが6.5%以上、糖尿病性網膜症が認められる、血糖値が著しく高い、糖尿病の典型的な症状(口渇・多飲・多尿・体重減少)が高血糖と一緒に認められれば糖尿病と診断されます。
■糖尿病の検査:血糖検査(空腹時・随時)、75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)
血糖検査には空腹時と随時の血糖値を測る検査と・75gブドウ糖経口負荷試験(75gOGTT)があります。1回目の検査で、空腹時血糖値≧126mg/dl、随時血糖値≧200mg/dl、75gOGTT2時間値≧200mg/dl、のいずれかが認められれば糖尿型と診断され、同検査を異なる日に行った2回目においても高い値が認められれば糖尿病と診断されます。
■糖尿病の検査:ヘモグロビンA1c(HbA1c、グリコヘモグロビンの1種)
ヘモグロビンA1c(HbA1c)≧6.5%が認められれば糖尿病と診断されます。ヘモグロビンA1c(HbA1c、グリコヘモグロビンの1種)は、食事や運動に影響され難く、いつ測っても過去1~2ヵ月前からの平均的な血糖値の状態を表します。ヘモグロビンA1c値は平均的な赤血球の寿命(約120日)の半分にあたる時期の平均血糖値に相当します。ですから、このことにより、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、血糖値とともに糖尿病の治療やコントロールの指標にもなります。
■糖尿病の検査:眼底検査
糖尿病性網膜症を発症していないかどうかは、眼底検査で目の網膜を観察します。眼底検査には精密眼底検査と蛍光眼底造影検査があります。糖尿病性網膜症が認められれば糖尿病と診断されます。
糖尿病の型判定の検査
糖尿病の型によって治療方針が異なりますから、型を見分けるための検査がされます。糖尿病の型を判定する検査には、血液中インスリン、C-ペプチド(CPR)、抗GAD抗体(グルタミン酸脱炭酸酵素)、ICA(膵島細胞抗体)の検査があります。これら検査は糖尿病の型を判定するもので、何度も検査をすることはありません。
■糖尿病の型を判定する検査:血液中インスリンの検査
殆ど0ならば1型糖尿病と判定されます。
■糖尿病の型を判定する検査:C-ペプチド(CPR)の検査
C-ペプチド(CPR)は体内でインスリンが作られるときに生じる物質です。何かしらの原因でインスリンが破壊されてインスリンを測定できなくとも、このC-ペプチドが認められれば「体がインスリンを作っている」ということになります。殆ど0ならば1型と判定されます。
■糖尿病の型を判定する検査:抗GAD抗体(グルタミン酸脱炭酸酵素)があるかどうかの検査
抗GAD抗体(グルタミン酸脱炭酸酵素)は膵臓のランゲルハンス島の障害や数を反映する検査です。この抗体反応が陽性と認められた場合は膵臓障害が考えられ1型糖尿病と判定されます。
■糖尿病の型を判定する検査:ICA(膵島細胞抗体)があるかどうかの検査
陽性なら1型糖尿病と判定されます。ICA(膵島細胞抗体)は膵臓のランゲルハンス島の障害や数を反映する検査です。この抗体反応が陽性と認められた場合は膵臓障害が考えられ1型糖尿病と判定されます。
糖尿病の重症度の検査
糖尿病の重症度の検査は、治療中の血糖コントロールが良いかどうかを見るコントロールの指標でもあります。糖コントロールの指標といえばヘモグロビンA1c(HbA1c)ですが、貧血があったりすると正しい指標になりません。そのため、グリコアルブミン(GA)や1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)が用いられるようになってきています。
■糖尿病の重症度と血糖コントロールの状態を知る検査:ヘモグロビンA1c(HbA1c、グリコヘモグロビンの1種)
ヘモグロビンA1c(HbA1c、グリコヘモグロビン)は、過去1~2ヶ月の血糖値を反映します。
■糖尿病の重症度と血糖コントロールの状態を知る検査:グリコアルブミン(GA)
グリコアルブミン(GA)は、過去2週間くらいの血糖値を反映します。
■糖尿病の重症度と血糖コントロールの状態を知る検査:1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)
1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)は、食後高血糖を反映します。
■糖尿病の重症度と血糖コントロールの状態を知る検査:ケトン体
ケトン体は代謝異常を反映します。尿中・血中のケトン体を測ります。
自宅で糖尿病検査
自宅で糖尿病検査をする方法があります。自宅で行う糖尿病検査には尿検査や血液検査があります。糖尿病検査キットを購入して、説明に従った自己検査をおこなった結果を送付すると、検査結果を知らせてくれるシステムです。気軽にできる検査方法ですので、定期健診を受ける機会がない、忙しくて健康診断を受ける時間がない、通常の定期健診では糖尿病の検査が入っていないなどの場合は、自宅で糖尿病検査をするのもよいかもしれません。糖尿病検査キットの結果で糖尿病が疑われる場合は必ず病院に行きましょう。勿論、糖尿病が気になるということは何かしらの理由があるはずです。できれば病院で検査を受けることをおすすめします。糖尿病は早期発見と早期治療がQOLの決め手になります。

