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糖尿病情報館 > 糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症とは

糖尿病性網膜症とは、糖尿病による毛細血管の異常から起こる糖尿病特有の眼の病気(目に起きる糖尿病の合併症)です。網膜には細い血管が多く存在し、細い血管ほど糖尿病による血管障害を受けやすく、糖尿病性網膜症という合併症に繋がります。糖尿病性網膜症は後天性の失明原因の第2位にもかかわらず、網膜には痛覚がなく重度の糖尿病性網膜症に進行しないと自覚症状がないため、突然の眼底出血や網膜剥離、視力低下を起こしてから気づくことが多いようです。眼底出血とは、網膜から硝子体までの出血を広く差します。糖尿病になってから5年~10年後には糖尿病患者数の約半数に糖尿病性網膜症を合併し、20年後には症状の程度の差こそあれ糖尿病患者数の約8割が糖尿病性網膜症を合併するといわれています。

※日本における中途失明の原因として糖尿病性網膜症が一位でしたが、平成18年に緑内障に次ぐニ位になりました。ですが、糖尿病性網膜症による失明人数は毎年増加しており、緑内障の原因の一部には糖尿病性血管新生緑内障も含まれていることは留意すべき点です。
※糖尿病性網膜症は、糖尿病性腎症と糖尿病性神経障害に並ぶ糖尿病の3大合併症のひとつです。

糖尿病性網膜症の症状

糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症の自覚症状には、目の前に蚊が飛んでいるような飛蚊症や、大量の眼底出血の場合は目の前が真っ赤に見えたり、網膜剥離による視野が欠ける視野欠損や光視症などの症状があります。糖尿病性網膜症が悪化すると眼底出血が多くなったりしますが、視力に関わる黄斑部で起こらなければ視力低下はほとんどないようです。眼底出血などで黄斑部が腫れる黄斑浮腫になると、視界の中心が暗くなったり見にくい部分ができたりします。糖尿病と診断されたら定期的に視力検査と眼底検査を受けて、糖尿病性網膜症が重症化する前に適切な治療や手術を受けることで糖尿病が原因の失明を避けなければなりません。
糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症の病期は、単純網膜症・前増殖性網膜症・増殖性網膜症に分けられます。増殖性網膜症になると糖尿病の内科的治療に関係なく悪化しますから眼科的な手術治療が必要になります。前増殖性網膜症の段階でも増殖性網膜症に移行しないよう眼科的手術治療が行われます。糖尿病性網膜症のレーザー治療や硝子体手術を行っても、血糖値のコントロールが不十分では糖尿病性網膜症の進行を食い止めることは困難です。糖尿病の自己管理(血糖値の管理)をして大切な眼を守りましょう。
糖尿病性網膜症の症状
○物がぼんやり見える
○蚊のようなススのような物が飛んでいるように見える(飛蚊症)
○視野が欠けて見えない部分がある
○夜間に物が見えにくい
○直線が歪んで見える

糖尿病性網膜症の治療

糖尿病性網膜症の治療は、糖尿病性網膜症の進行状態によって、糖尿病の内科的治療のみでよいこともあれば手術治療が必要になることもあります。糖尿病性網膜症が軽度の単純網膜症の時期は、網膜に限局した眼底出血や網膜浮腫・白斑(進出物)がありますが、糖尿病性網膜症の自覚症状はありません。単純網膜症の時期は、糖尿病の内科的治療(血糖コントロールによる網膜症の進行をくいとめる治療)が中心で、眼科では定期検査(視力検査・眼底検査・眼圧検査など)による経過観察になり、糖尿病性網膜症に対する手術といった眼科的治療はありません。単純網膜症から前増殖性網膜症に進行してしまっている時期でも糖尿病性網膜症の自覚症状はあまりありませんが、次の増殖性網膜症に移行することを防ぐ目的で行われる網膜光凝固術(レーザーで血管閉塞量領域を焼くの手術)によって失明を回避する可能性がかなり高まるといわれています。増殖性網膜症の時期では、網膜にもろく破れやすい新生血管が現われて硝子体にまで病変が拡大し、自覚症状が現われます。網膜の新生血管が破れて眼底出血(硝子体への広範囲の出血)を繰り返して増殖性変性や硝子体変性萎縮による糖尿病網膜剥離を引き起こして失明のリスクが極めて高くなります。増殖性網膜症の時期は糖尿病の内科的治療に関係なく網膜症が進行しますから、糖尿病性網膜剥離や緑内障を引き起こして失明を起こしてしまうことを回避する積極的な眼科治療(手術治療)が必要になります。網膜光凝固術(レーザー光凝固)で効果が見られない場合は硝子体手術を行います。増殖性網膜症の時期の硝子体手術では失明は避けられても視力回復はあまり期待できないようです。また、手術後に同じような症状を繰り返すことがあり、進行すれば網膜剥離や緑内障などを引き起こします。

糖尿病性網膜症の手術1

糖尿病性網膜症の手術治療には、網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療と硝子体手術があります。網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療とは、網膜にレーザーを照射する手術治療です。糖尿病性黄斑浮腫や増殖性網膜症に対して網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療が行われます。糖尿病性黄斑浮腫に対するレーザー手術治療の目的は、網膜の毛細血管瘤や浮腫(むくみ)にレーザーを照射して浮腫(むくみ)を軽減して視力改善を目指すことです。ただし、黄斑部の機能低下の進行度合いによっては視力の改善がみられないことがあります。増殖性網膜症に対するレーザー手術治療の目的は、血流の悪い部分の網膜にレーザーを照射して凝固させることで網膜の黄斑部など大切な部分への酸素不足を改善して、新生血管の増殖を抑制し増殖性変化(増殖膜)を抑制して増殖性糖尿病性網膜症の進行を食い止めて、増殖性網膜症の悪化による網膜剥離や緑内障による失明を回避することです。ただ、増殖性網膜症のレーザー治療は視力回復を目的としているものではないと考えたほうが良いようです。
レーザー治療も硝子体手術も手術であることに変わりなく、手術には後遺症や手術による合併症のリスクを伴いますから、納得した上で手術に臨むことが大切です。また、糖尿病性網膜症のレーザー治療や硝子体手術を行っても、血糖値のコントロールが不十分では糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症の進行を食い止めることは困難です。糖尿病の自己管理(血糖値の管理)をして大切な眼を守りましょう。

※糖尿病患者は白内障を合併していることが多いです。白内障を合併している場合は、一般的に網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療や硝子体手術の際に、白内障の手術も同時に行われます。

糖尿病性網膜症の手術2

糖尿病性網膜症の手術治療には、網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療と硝子体手術があります。糖尿病性黄斑浮腫や増殖性網膜症に対して硝子体手術が行われます。糖尿病性黄斑浮腫に対する硝子体手術では、手術後に黄斑浮腫は急速に消失して半年~1年ほどで視力の改善が見られ、白内障も合併している場合は白内障手術も行われるため視力の改善が大きく期待されるとされています。糖尿病網膜症が進行した増殖性網膜症の時期では、網膜から硝子体にかけての広範囲の眼底出血が起きたり、網膜に増殖膜ができたり、更に網膜剥離がおきて極端な視力低下を引き起こしたりします。増殖性網膜症の硝子体手術では、出血や濁りの吸引除去、網膜が引っ張られて牽引性網膜剥離を起こさないように増殖膜の除去、新生血管の電機凝固などを行います。網膜剥離や網膜裂孔(網膜に穴が開いている状態)の場合は、その処置を施します。
糖尿病性網膜症は糖尿病の合併症ですから、糖尿病性網膜症のレーザー治療や硝子体手術を行っても、血糖値のコントロールが不十分では糖尿病性網膜症の進行を食い止めることは難しいです。糖尿病の自己管理(血糖値の管理)をして大切な眼を守りましょう。

※糖尿病を患っていると白内障を合併していることが多く、白内障がある場合は、糖尿病性網膜症の網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療や硝子体手術の際に、白内障の手術も同時に行われるのが一般的です。ただ、重度の糖尿病性網膜症を合併しているときは眼内レンズ挿入術はできません。

糖尿病性黄斑浮腫の治療

糖尿病性黄斑浮腫とは、糖尿病性網膜症の症状のひとつです。糖尿病性黄斑浮腫の治療の絶対的に確実な治療方法は確立されていないようです。糖尿病性黄斑浮腫の治療には、糖尿病の内科的治療をはじめとする網膜光凝固術(レーザー光凝固)治療や硝子体手術のほかに、ステロイド眼球内注射があります。ステロイド(副腎皮質ホルモン)は血管からの液体成分が漏れ出ることを減らして黄斑浮腫を減らす効果があるのですが、ステロイドは糖尿病を悪化させてしまいます。そこで、内服や注射による全身投与ではなく、黄斑部だけに効果を集中させるべく、長期間作用が続くステロイド剤を眼球に直接注射します。ステロイド眼球内注射には眼圧上昇・白内障の進行・感染症などのリスクがあり、注射の効果がある数ヵ月後に黄斑浮腫が再発すれば注射が再度必要になります。

※糖尿病性黄斑浮腫とは、糖尿病が原因による網膜の血管障害の結果で、網膜血管に毛細血管瘤ができたり、毛細血管から血液中の液体(水分や脂肪)が染み出たりすることで、網膜の黄斑部(物を見ることに関係する網膜の中心部分)に浮腫(むくみ)が生じている状態です。

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