My Yahoo!に追加 Add to Google Subscribe with livedoor Reader
糖尿病情報館 > 糖尿病性腎症

糖尿病性腎症とは

糖尿病性腎症とは、糖尿病が原因となって細小血管が障害される糖尿病特有の腎臓の病気(腎臓に起こる糖尿病の合併症)で、慢性腎臓病(CKD)のひとつです。糖尿病性腎症の原因が糖尿病であることは明確ですから、糖尿病であっても血糖コントロールをきちんと行うことで糖尿病性腎症の合併を予防することは可能です。糖尿病のコントロールが甘く高血糖の状態が持続し、この糖尿病の合併症である糖尿病性腎症を放置し続けると、およそ30年で腎臓の機能が停止する腎不全に陥って人工透析が必要になってしまいます。人工透析を始める患者の3人に1人は糖尿病性腎症の患者といわれています。また、他病気で腎症になり人工透析を受けるに至った人に比して、糖尿病性腎症の人工透析に至った糖尿病患者の生命予後は不良であるといわれています。糖尿病になってから5~10年ほどで糖尿病性腎症を合併するといわれていますが、2型糖尿病ではいつ糖尿病になったか不明瞭のことが多いため、糖尿病と診断されたら定期的な尿中微量アルブミン検査で糖尿病性腎症の有無をチェックする必要があります。糖尿病性腎症を合併している場合は、早期の糖尿病性腎症の時期に適切な治療が重要になります。糖尿病性腎症は病期(糖尿病性腎症の症状の進行程度)によって治療が異なります。糖尿病性腎症を発症している場合は糖尿病網膜症や糖尿病性神経障害も合併していることが多いようです。糖尿病性網膜症は糖尿病性腎症より先に発症することが多く、糖尿病網膜症がなければ腎機能障害は腎症によるものではなく高血圧など別の病気による可能性が高いと考えられます。

※糖尿病性腎症は、糖尿病性網膜症と糖尿病性神経障害に並ぶ糖尿病の3大合併症のひとつです。
※CKDとは「Chronic Kidney Disease」の略語で、慢性腎臓病のことです。糖尿病性腎症は慢性腎臓病です。

腎臓の機能

糖尿病性腎症は、高血糖の状態が続くことで腎臓が障害されて腎臓機能が低下し、悪化すると腎不全になってしまう糖尿病の合併症です。腎臓の機能についての基礎知識を持って糖尿病性腎症を理解することは、腎臓が大切な臓器であることを知るだけでなく、糖尿病の予防治療=糖尿病性腎症などの合併症の予防治療がいかに重要かの理解に繋がります。
腎臓の主要な機能は血液のろ過や浄化の役割です。そのため腎臓の血管が障害されると腎臓の機能も損なわれます。腎臓では体液が一定以上に濃くなるのを防ぐために、尿量を調節したり再吸収したりしています。糸球体のろ過機能で体に必要な血液成分やタンパク質を体に残し、老廃物や余分な塩分・糖分・水分などは原尿(尿の元になる液)として尿細管に移動します。尿細管では原尿が再度ろ過(再吸収)されて濃縮されます。濃縮された原尿は膀胱に移り、膀胱から尿として排出されます。糖尿病性腎症が進行すると腎臓機能の回復は見込めず、可逆的に悪化し人工透析が必要になり、最悪尿毒症に陥り生命維持に関わる状態になります。持続的な糸球体内圧が上昇することによる糸球体硬化が、糖尿病性腎症の根本的な原因と考えられています。
腎臓の機能(腎臓の働き)はおよそ次のとおりです。
○体内のいらなくなったものを排出します。
○体内の水・ナトリウム・カリウムの量を整えます。
○血圧を整えます。(腎性高血圧の主な原因は、水分・塩分が体内に溜まることによります。)
○骨髄で赤血球が作られるのを助けます。
○血液を弱アルカリ性に保ち、血液の細胞の働きを良くします。
○血液中のカルシウムの吸収を助けます。
○いらなくなったホルモンを壊したり捨てたりします。

※腎臓の位置は、腎臓は腹腔の上部(横隔膜の下)にあって、腹部脊椎の左側と右側に1つづつあって、右腎は左腎よりやや低い位置にあります。腎臓の形はソラマメ状で拳よりやや小さく約150gで、通常は左腎が右腎よりも重く大きいです。

糖尿病性腎症の検査

糖尿病性腎症の検査で重要なのが尿中微量アルブミン検査です。尿中微量アルブミン検査によって糖尿病性腎症の早期発見が可能です。また、尿中微量アルブミン検査は糖尿病性腎症の進行程度を調べるのに適した検査方法とされています。糖尿病性腎症が進行した第3期(糖尿病性腎症の病期)になると、尿に多量のタンパク質がでて尿蛋白検査で陽性反応が見られます。たんぱく尿がでる第3期には糖尿病性腎症はかなり進行して腎機能が低下していますから、これを回復させるのは困難です。自覚症状がなく通常の尿蛋白検査で陰性の糖尿病性腎症の第2期まで(糖尿病腎症の初期・早期の時期)に有効な検査方法が尿中微量アルブミン検査なのです。アルブミンとはタンパク質のひとつで、尿アルブミン値の正常値は1日あたり30mg以下です。糖尿病性腎症2期(早期腎症)になると尿中微量アルブミン検査で陽性になります。たんぱく尿が出る前のこの時期に血糖を厳格に管理することで腎症が治る可能性があるとされています。この時期を過ぎると血糖コントロールをしても腎症は進行し、血糖管理が甘いと更に急速な進行が促されてしまいます。糖尿病と診断されたら定期的に尿中微量アルブミン検査を受けて腎症の進行を食い止めましょう。
糖尿病性腎症の診断基準としては幾つかの検査の結果によりますが、糖尿病を発症してから5年経過して持続性のタンパク尿がでているならば糖尿病性腎症が強く疑われます。糖尿病でタンパク尿が陽性であっても糖尿病性腎症とは限りません。他の腎臓病との鑑別が必要な場合があります。タンパク尿の原因が他のタンパク尿がでる病気が原因でないことを確かめるために腎生検(腎臓の組織の一部を取って調べる検査)をすることがあります。

糖尿病性腎症の病期分類

糖尿病性腎症は第1期~第5期までの5期に病期分類され、第3期に至る前の治療が糖尿病性腎症の進行を食い止め腎臓機能を回復する治療効果の分岐点といえます。第3期以降は糖尿病の治療をしていても糖尿病腎症の症状が進行し腎機能の回復も困難で、不十分な糖尿病管理がさらなるに症状の悪化を加速します。定期健康診断で糖尿病の予兆を発見し、糖尿病と診断されたら定期的な尿中微量アルブミン検査を受けて、糖尿病腎症を早期に発見して早期の治療を開始することが肝心です。
■糖尿病性腎症の病期分類:第1期(腎症前期)
■糖尿病性腎症の病期分類:第2期(早期腎症期)
■糖尿病性腎症の病期分類:第3期(A顕性腎症前期・B顕性腎症後期)
■糖尿病性腎症の病期分類:第4期(腎不全期)
■糖尿病性腎症の病期分類:第5期(透析療法期)

糖尿病性腎症の症状

糖尿病性腎症の症状の特徴は、蛋白尿、高血圧、貧血(腎性貧血)、浮腫(むくみ)などのネフローゼ症候群です。糖尿病性腎症の症状において、糖尿病性腎症の病期第1期~第3期前期までは通常は自覚症状はありません。尿蛋白検査で陽性になる糖尿病性腎症病期第3期後期のネフローゼ症候群の症状にはじまり、糖尿病性腎症末期では透析療法を行わないと容易に尿毒症の症状を呈して死亡に至ります。糖尿病性腎症の病期別症状はおよそ次のとおりです。
■糖尿病性腎症の病期第1期(腎症前期)の症状
腎症の自覚症状はありません。
■糖尿病性腎症の病期第2期(早期腎症期)症状
腎症の自覚症状はありません。高血圧を合併しはじめることが多いようです。
■糖尿病性腎症の病期第3期A(顕性腎症前期)症状
通常は腎症の自覚症状はありません。
■糖尿病性腎症の病期第3期B(顕性腎症後期)症状
続発性ネフローゼ症候群の症状が現われます。ネフローゼ症候群とは単一疾患ではなく機能的な概念で、その症状は高度のタンパク尿や低タンパク血症を必須条件として、その結果生ずる浮腫(むくみ)や高脂血症が特徴です。
■糖尿病性腎症の病期第4期(腎不全期)症状
浮腫(むくみ)に加えて尿毒症の症状が出現しはじめます。尿毒症とは、排出されるべき物質が排出されずに全身に蓄積された結果に現われる病態です。尿毒症の症状としては、疲労感・無気力・食欲不振・嘔吐・頭痛・意識障害・痙攣・吐血・下血・口臭・血圧異常・不整脈・心不全・呼吸困難・肺炎・貧血・出血・紫斑などさまざまで、重症の尿毒症では幻覚や昏睡を引き起こし死亡に至る危険性があります。
■糖尿病性腎症の病期第5期(透析療法期)症状
腎機能廃絶により透析療法を行わないと尿毒症の症状が容易に生じて死亡に至ります。

糖尿病性腎症の診断基準

微量アルブミン尿がでた時点で糖尿病性腎症と診断されます。糖尿病性腎症の早期診断基準があります。尿蛋白検査で陰性または陽性(1+程度)の糖尿病患者に対して、尿中微量アルブミン検査を3回行い、3回のうち2回以上で尿中アルブミン値が30~299㎎/gCrであることを必須条件として、尿中アルブミン率・尿中Ⅳ型コラーゲン値増加や腎肥大を参考項目として糖尿病性腎症の早期診断をします。微量アルブミン尿と診断された場合は、他腎疾患などとの鑑別を行った後に糖尿病性腎症と診断します。糖尿病性腎症の診断基準はおよそ次のとおりです。
■糖尿病性腎症の病期第1期(腎症前期)の診断基準
尿蛋白検査・尿中微量アルブミン検査の結果は正常で、糖尿病性腎症とは診断されない病期です。ただし、この時期に糸球体に病変が存在するケースもあるようです。腎臓の機能低下はみられません。
■糖尿病性腎症の病期第2期(早期腎症期)の診断基準
尿蛋白検査では陰性ですが、尿中微量アルブミン検査結果で微量アルブミンは陽性です。微量アルブミン尿がでています。腎機能(GFR)は正常範囲内で、腎臓の機能低下はみられません。
■糖尿病性腎症の病期第3期(顕性腎症)の診断基準
○糖尿病性腎症第3期A(顕性腎症前期)の診断:尿蛋白検査で陽性になる病期です。持続性タンパク尿がでています。腎機能(GFR)はほぼ正常範囲内です。
○糖尿病性腎症第3期B(顕性腎症後期)の診断:ネフローゼ症候群を呈するようになる時期です。尿タンパク量1g/日以上、Ccr60ml/分以下です。腎機能は低下しています。
■糖尿病性腎症の病期分類:第4期(腎不全期)の診断基準
尿毒症の症状が現われ始める病期です。他の腎疾患による慢性腎不全と同様の診断と病態で、著しく腎機能が低下して透析療法導入が検討される時期です。
■糖尿病性腎症の病期分類:第5期(透析療法期)の診断基準
腎機能廃絶による透析療法の導入以降の病期です。尿毒症の症状が容易に生じて死亡に至るリスクが極めて高い時期です。

※GFRとは「gulomerular filtration rate」の略語で、腎機能の指標になる糸球体尿ろ過量を示す検査値です。通常はクレアチニン・クリアランス(Ccr)とよばれる検査が行われます。一定時間内溜めた尿中に血液の老廃物であるクレアチニンがどれくらい排泄されているか調べる検査です。GFRは腎症の進行や加齢に伴って低下していきます。

糖尿病性腎症の治療1期2期

糖尿病性腎性第1期は腎症前期とよばれ、期糖尿病性腎症とは診断されない時期です。糖尿病の治療(食事療法と運動療法)による血糖コントロールが中心の治療です。食事は糖尿病食が基本です。蛋白制限はありませんが過剰摂取は避けます。食塩制限やカリウム制限はありません。第1期(腎症前期)では、普通に仕事をしたり家事もできる生活ができます。
糖尿病性腎症の第2期(早期腎症期)は、糖尿病性腎症の進行を食い止められるかどうかの大切な時期です。血糖コントロールをしっかり行うことで微量アルブミン尿は治ります。第2期(早期腎症期)の治療は糖尿病食を基本とした食事療法で厳格な血糖コントロールが必要です。蛋白制限がありますが、食塩制限とカリウム制限はありません。運動療法も行います。高血圧を合併している場合は、血圧を下げる降圧治療を行います。第2期(早期腎症期)では、普通に仕事をしたり家事もできる生活ができます。

糖尿病性腎症の治療3期

糖尿病性腎症第3期(顕性腎症期)は顕性腎症前期と顕性腎症後期に分けられ、治療方法も異なります。
糖尿病性腎症第3期(顕性腎症前期)の治療は、糖尿病食を基本とした食事療法で厳格な血糖コントロールが必要です。蛋白制限と食塩制限がありますが、カリウム制限はありません。高血圧を合併している場合は、血圧を下げる降圧治療を行います。第3期(顕性腎症前期)では、普通に仕事をしたり家事もできる生活ができますが、過激な運動は避け、症状よって運動の程度を調節する必要があります。
糖尿病性腎症第3期(顕性腎症後期)の治療は、糖尿病食を基本とした食事療法で厳格な血糖コントロールが必要です。タンパク制限(低蛋白食)と食塩制限があり、軽度のカリウム制限があります。浮腫(むくみ)の程度によっては水分制限がされます。血圧を下げる降圧治療を行います。運動は体力を維持する程度に制限されます。日常生活は疲労が残らない軽度の制限が必要で、軽度の業務で家事も疲労が残らない程度に制限されます。

糖尿病性腎症の治療4期

糖尿病性腎症の第4期(腎不全期)は、腎不全の状態に陥って尿毒症の症状が出はじめ、透析導入や腎移植を検討する時期です。クレアチニンが透析導入を判断する基準になります。糖尿病性腎症第4期(腎不全期)の治療は、血糖コントロール・降圧治療・蛋白制限・浮腫(むくみ)の程度によって水分制限を行います。運動は散歩や軽い体操程度に制限されます。日常生活は疲労が残らない制限が必要で、仕事も家事も制限されます。

糖尿病性腎症の治療5期

糖尿病性腎症の第5期(透析療法期)は、人工透析によって電解質異常・高窒素血症・代謝性アシドーシスなどは改善されますし、浮腫(むくみ)・細胞外液過剰に伴う高血圧・尿毒症の症状などは徐々になくなります。だだし、人工透析は腎臓の内分泌機能の代わりにはならないため、腎性貧血や腎性骨異栄養症などは改善しません。腎性貧血ではエリスロポエチン静脈注射、腎性骨異栄養症に対してはビタミンDの補充など、人工透析とは別の治療が必要です。糖尿病性腎症の第5期(透析療法期)の他治療としては、血糖コントロール・降圧治療・水分制限があります。運動は原則として軽い運動に制限され、日常生活はも疲労が残らない制限が必要です。

※透析療法とは、血液中の尿毒物質や水を除去する治療です。機能低下をきたした腎臓の代わりに腎臓の血液ろ過の働きをするのが人工透析です。透析には、血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の2種類があります。

「糖尿病性腎症」のコメントについて

「糖尿病性腎症」に関するコメントを記事別に募集しています。より有益なサイトになるように「糖尿病性腎症」情報をお願いします。

「糖尿病性腎症」のトラックバックについて

各記事のトラックバックは「糖尿病性腎症」に関するもののみ受け付けます。トラックバックしていただく記事を「糖尿病性腎症」のアンカーテキストでリンクしていただけるとありがたいです。(相互リンク)

「糖尿病性腎症」に関連サイトとの相互リンクについて
このサイトは相互リンク募集中です。「糖尿病情報館」に関連するサイトでしたらOKです。