糖尿病情報館

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糖尿病性腎症の診断と病期(重症度)

糖尿病性腎症早期診断基準に基づいて早期糖尿病性腎症が診断されます。ここで有効なのが尿中微量アルブミン検査です。そして、尿中アルブミン値と腎臓機能(eGFR)を指標にした病期分類によって、糖尿病性腎症の重症度を把握します。

糖尿病の早期診断基準

尿蛋白検査(試験紙による定性法)で陰性または陽性(+1程度)の糖尿病患者に対して、午前中の随時尿で尿中微量アルブミン検査を日を変えて3回行います。3回のうち2回以上で尿中アルブミン値が30~299㎎/gCrで微量アルブミン尿との判定します。微量アルブミン尿を必須項目、尿中Ⅳ型コラーゲン値増加や腎肥大を参考項目として、糖尿病性腎症を早期診断します。微量アルブミン尿と診断された場合は、他腎疾患などとの鑑別を行った後に糖尿病性腎症と診断します。

糖尿病性腎症の病期の分類

糖尿病性腎症は、第1期から第5期の病期に分類されますが、順を追って1期から5期まで進行するものではありません。この分類では尿中アルブミン値と腎臓機能(eGFR)を指標にしており、糖尿病による腎臓障害の重症度と将来における合併症の発生頻度の相関関係が表されており、将来の心臓病や脳卒中などの合併症の発生頻度を推しはかることができます。

○第1期(腎症前期)
尿アルブミン値(㎎/gCr)は30未満で正常アルブミン尿です。糖尿病性腎症とは診断されない病期です。糖尿病による腎臓の機能低下はみられません。

○第2期(早期腎症期)
尿蛋白検査では陰性ですが、尿中アルブミン値30~299で微量アルブミン尿と判定されます。腎機能(GFR/eGFR)は正常範囲内で、腎臓の機能低下はみられません。

○第3期(顕性腎症)
尿中アルブミン値300以上で顕性アルブミン尿、あるいは尿蛋白値(g/gCr)0.5以上で持続性たんぱく尿と判定されます。腎機能(GFR/eGFR)はほぼ正常範囲内です。
ネフローゼ症候群の症状が現われ、腎機能低下が進行する時期です。

○第4期(腎不全期)
総アルブミン値あるいは尿蛋白に関わらず、GFR30ml/分/1.73m2未満の状態は、この腎不全期に分類されます。だだし、正常アルブミン尿や微量アルブミン尿の場合は、糖尿病性腎症以外の腎症との鑑別が必要になります。
尿毒症の症状が現われ始める時期です。他の腎疾患による慢性腎不全と同様の診断と病態で、著しく腎機能が低下して透析療法導入が検討されます。

○第5期(透析療法期)
腎機能廃絶による透析療法の導入以降の病期です。尿毒症の症状が容易に生じて死亡に至るリスクが極めて高い時期です。

腎機能の評価方法はGFRを測定します。国際標準はイヌリン・クリアランス(Cin)です。Cinは正確に測定できるのですが、放射線被ばく・入院検査・検査方法が煩雑といった問題点があります。そのため、日本ではクレアチニン・クリアランス(Ccr)や推算GFR(eGFR)が代用されてきました。Ccr検査は保険点数がないこともあり、現在はeGFRが一般的に用いられています。

推算GFR(eGFR)は、血清クレアチニン、年齢、性別の3項目で推算する式が一般的に用いられています。一度の採血で済むため、患者にかかる負担が軽く、早く判定ができる利点があります。
その反面で、年齢・性別・体格の違いで誤差が生じてしまいます。また、糖尿病では高い数値が出てしまいます。(どうして糖尿病でeGFRが高値になるかはわかっていません。)このことにより、腎機能が低下しているのに、薬の過量投与、心血管疾患などの合併症の評価、適切な透析時期の遅れといった問題点があり、計算式が補正された経緯があります。

※GFRは、糸球体濾過値(glomerular filtration rate)の略語です。eGFR(推算GFR)は、推算糸球体濾過値(estimated glomerular filtration rate)の略語です。

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